★第29回野蒜会より★

鮟鱇や海鳴絶えぬ岬泊り   雅かず

鮟鱇の気持も知らず肝を喰ふ 正行

鮟鱇の残る顎の輪空の青   清一路

 

20201227 三宮勤労会館


★第28回野蒜会より★

分校のたつた五人の炉を開く    雅かず

炉開の居前を正す老師かな     頼温

つむじ風回る落葉に歩をとられ   陽

炉開や翁の語るものがたり     清一路

をちこちの落葉を踏まぬやうに行く 愛子

落葉にも小さき風の子乗ってをり  佳子

古道具物置で待つ炉開く日     みちこ

 

20201122 三宮勤労会館


★第27回野蒜会より★

ココア淹れ風音聴いてゐる夜寒 雅かず

足首の温さ奪へる夜寒かな   久美代

鉛筆の紙に躓く夜寒かな    清一路

庭園の焦点となり初紅葉    紀子

標高線下りてきたる紅葉かな  陽

白き峰仰ぐカールの紅葉かな  頼温

赤や黄に紅葉づる山の迫りをり 正行

 

20201025 三宮勤労会館


★第26回野蒜会より★

香を薫きしづかに虫を聴いてをり 雅かず

水澄みて木の葉の脈のしかと見ゆ 頼温

ゆつくりと歩めば水の澄みゆけり 佳子

水澄みて水琴窟の音色かな    和代

一片の落つるゆらぎに水澄めり  愛子

虫の秋兄の大病気にかかり    及

澄む水の底に硬化を重ねけり   清一路

肌走る乾きし風や虫のこゑ    陽

水澄める龍の手水や浅草寺    正行

ちちろ虫闇に溶けゆく閨灯    富子

名も知らぬ虫に癒され床につく  みちこ

 

20200927 三宮勤労会館


★第25回野蒜会より★

鳳仙花あの頃はみな家族ゐて  雅かず

野地蔵の供花ともなりし鳳仙花 和代

堪へる日々知らぬ我にも終戦日 みちこ

生かされし命を思ふ終戦日   紀子

指先を見つめる少女鳳仙花   久美代

鳳仙花はじけて草のみなうたふ 頼温

じいちやんの膝で八月十五日  玲花

初めての内緒の話鳳仙花    愛子

鳳仙花空家の庭の三輪車    清一路

無住寺の雨音閑か鳳仙花    富子

終戦日写真と並ぶ古時計    正行

 

20200823 三宮勤労会館


★第24回 野蒜会より★

流されてただよふ海月にも命  雅かず

只浮び又沈み又浮く海月    愛子

風鈴の夕風さそふ静寂かな   和代

骨抜きにされたる恋も海月浮く 玲花

風鈴や誰か来そうな音のして  富子

くろがねの風鈴の音透きとほる 清一路

風鈴や配達人の青きシャツ   淡青

風鈴の風待つ顔となりにけり  紀子

雨音に風鈴までが寂しす    みちこ

風鈴やひとり遊びの真昼時   佳子

里帰り祖母の風鈴低くなり   陽

亡き姉の風鈴を吊る夕べかな  頼温

 

20200726 三宮勤労会館


★第23回野蒜会より★


★第22回 野蒜会より★


★第21回 野蒜会より★


★第20回 野蒜会より★


★第19回 野蒜会より★